医療業界は介護業界と並んで離職率が高い職種と言われている。離職率が高い理由はいくつかあるが、女性ならではの問題として挙げられるのが結婚や出産を理由にした離職だ。男性の場合は結婚による仕事への影響は少ないが、女性は家庭に入ることで必然的に仕事と家事を両立する形になる。入院施設がある病院で働いている看護師は日勤、夜勤の両方をこなさなくてはいけないため、独身時代と同じ生活を送ることはできない。出産を経て子育ても行うとなれば、なおさらシフト勤務は困難となり、離職という決断をせざるを得なくなる。
そして男女共に共通する離職理由が職場の人間関係だ。時代の移り変わりによって男性看護師の数も増加傾向にあるとはいえ、全体的に女性の割合が高いと言われている。男性に比べて女性は感情的になりやすく、日々の仕事のストレスが対人関係に影響を及ぼして職場の雰囲気が悪くなるケースは少なくない。仕事に対する不満はなかったとしても、人間関係に問題があって離職をする看護師は多くいる。
看護師の離職事情は必ずしも後ろ向きな物ばかりではない。看護師の中には向上心を持ってスキルやキャリアアップを図ろうとする人もいる。この場合は専門分野を学んだり、それまでの経験を活かしてより高みを目指すために別の病院へ転職をするという形での離職だ。キャリアアップによる離職はある程度経験を積んだ中堅やベテラン看護師に多く見受けられる。大切な戦力が欠けることで看護師一人当たりの負担が増えてさらに離職が増えるという悪循環が生まれてしまうので、病院側はしっかりと対策をしなくてはいけない。